写真が上手くなる近道って何かなってよく考えます。
マニュアル撮影ができるようになることじゃないか? フレーミングや構図のテクニックを知ることじゃないか? とあれこれ考えてきたのですが、個人的に一番これだって思ったのは「自分の好きな写真を知ること」でした。そしてさらに「自分の好きな写真家を見つける」ことができれば尚良いと思います。今回はそんなお話。
なぜ「自分の好きな写真を知ること」が上達への近道か
たとえば、音楽に当てはめてみるとわかりやすいです。
ギターを買ったばかりのA君とB君がいたとします。ギターを買った動機はどちらも違っていて、A君は「ギターを弾けるとかっこいいから」、B君は「大好きなOfficial髭男dismの“Pretender”を弾いてみたいから」です。
果たして、上達が早いのはどちらでしょうか? おそらくB君でしょう。B君は「自分の好きな曲」が明確化しています。Pretenderを弾けるようになるための効率の良い練習をするでしょう。
つまり、自分の好きなアーティストや好きな曲を知ることは、上達への近道ということです。
これは写真も同じですね。自分がどんな写真が好きかを知っているのと知らないのでは、上達速度が変わってきます。好きな写真がわかっていれば、そのために必要な撮影機材もわかるし、被写体選びや撮影方法も自ずと決まってきます。何しろ、好きな写真を撮ることができる喜びは何倍も大きいです。
写真集をたくさんみよう
まだ自分の好きな写真がわからない人は、これから見つけていきましょう! ただ、写真は音楽と違い、市場の規模や性質が異なります。
好きな音楽アーティストと出会うのは比較的簡単です。普通に生きていればテレビやYoutubeなどいたるところで音楽が流れてきますし、良い曲と触れあう機会はたくさんあります。どんな音楽が好きかという質問は、音楽をある程度好きな人たちからは良く聞かれるので考える機会は多いでしょう。
しかし、写真はそうはいきません。好きな「写真家」を言える人は少ないのではないでしょうか? 音楽に比べるとやはりニッチな分野なので、自分から進んで写真を観なければ自分の好きな写真とはなかなか出会えません。
最近はInstagramなどのSNSによって写真と触れあう機会が増えたのは良いことだと思います。私もInstagramを通して自分好みの写真を撮っている人たちは積極的にフォローし、参考にさせて貰っています。ただ、SNSには一つ落とし穴があって、「いいね」をたくさん貰うことを目的としたインパクト重視の写真が多くなりがちだということです。それを否定するわけでは全くないのですが、写真はもっといろんなジャンルがあるし、様々な鑑賞の仕方があるので、そういった写真と出会う機会も設けないともったいないと思います。
オススメは写真集を観ることです。私は濱田英明さんや、川島小鳥さん、川内倫子さんが好きなので、いくつか写真集を持っているのですが、写真のみせ方にとても感心させられます。写真の版形、ページ構成、写真を見せる順番、左右の対比、余白のとり方など、それらを含めて全て作品なんだなぁと思わされます。SNS上の単発での写真鑑賞とはまた違った味わいがありますよ。
また、世の中からの一定の評価を得ている有名な写真家が、必ずしもSNSをやっているとは限りません。SNSが生まれる前の写真界の巨匠たちの写真は、やはり写真集でしか鑑賞する手段がないんです。写真集をみることは、より本物の作品と触れ合う体験にもなると思います。なぜこの人の写真が有名なのかというのを調べてみると、写真の奥深さに気付かされます。写真を観る「目」が鍛えられますよ!
自分が好きな写真を文字に起こしてみよう
もう一つ、自分の好きな写真を知るおすすめの方法は「好きな理由を文字に起こしてみる」という方法です。
「なんとなくこの写真が好き」だと、認識が弱く、目標もぼやけてしまいます。より強く認識するために、この「なんとなく」の部分を言語化してみましょう。目標がハッキリするはずです。
例えば私の場合、どんな写真が好きなのかを言語化すると以下の様になります。
【使用機材】
フィルムカメラやフィルム風にレタッチされたデジタルカメラ。
ハーフよりも35mm。35mmよりも中判。
マクロも広角も好き。
【ロケーションや被写体】
フレーミングや構図を追い込んだ日常のスナップ写真。
ポートレートの場合はロングショット。
【色味】
青が少しだけ強調された色。ヌケ感。
【光の状況】
木漏れ日が差し込む光。
私はこのような項目に分けて書きましたが、例えば電車の写真が好きな方は、好きな構図や電車の種類などを書き込んだりしても良いと思います。自分の中でこれだと思う項目はどんどん書いていきましょう!
このように言語化すると自分が好きな写真が見えてきますよね? そうすると自分に必要な機材や、技術、知識がわかってきます。同時に自分に必要の無いものもわかります。実はこの必要のないものを見つけることも結構重要です。テーマをぶらさずに済むし、余計な時間や労力を割くこともなくなります。
まとめ
以上、今回は「写真上達への近道は自分の好きな写真を知ること」という内容のお話でした。カメラのテクニックについての本やブログって結構たくさんあるんですけど、案外こういう写真に絞った話って少なかったりするんですよね。でもカメラやレンズよりも重要なことだと私は思っています。参考になれば幸いです。
▼私のおすすめの本です!
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