写真表現としてのアスペクト比(縦横比)

写真表現としてのアスペクト比

今回は写真におけるアスペクト比(縦横比)の話をしてみたいと思います。写真のアスペクト比の知識は意外と知らない人も多いのですが、実は結構奥が深くて面白い世界です。インスタグラムなどでいろいろな写真を見るときでもアスペクト比を知っておくとより写真の造詣を深めることができると思います。ご自身が撮った写真をトリミングするとき、ただなんとなくで比率を決めるよりも明確な理由があってトリミングする方がより説得力のある写真にすることができます。カメラ側の設定で最初から選べたりもできるので、「全てこのサイズで撮る!」というコンセプトを持っている方は設定してしまっても良いかもしれません。アスペクト比は写真表現として実は重要なのです。

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初級編

3:2

アスペクト比 3:2

・写真といえばこの比率、スタンダートなアスペクト比

現在のフルサイズ・APS-Cのイメージセンサーに採用されている伝統的な比率です。写真といったらこのサイズが見慣れているかと思います。特に目的がないのであればこのサイズが一番安定した印象を与えられるのではないでしょうか。ただ、一般的な印刷やテレビ・パソコンのアスペクト比に3:2のものはほとんどないので、目一杯表示させようと思ったら一部を切る必要があるサイズとも言えますね。まあこの比率に限ったことではないのですが。

4:3

アスペクト比 3:4

すこしレトロを感じるアスペクト比

コンパクトデジカメマイクロフォーサーズ中判のイメージセンサーに採用されている比率です。縦横比が小さいので被写体の収まりは良いです。少し昔のHDハイビジョン非対応のテレビや一般的なパワーポイント証明写真もこの比率です。最近は16:9に見慣れてきてしまったので、4:3は少しレトロっぽさを感じるのかもしれません。しかし、Webサイトのサムネイルに使う写真としてなら比較的面積が大きいので画像を目立たせられます。3:2よりも大きくしたいけど、1:1じゃ大きすぎるといったときに使える比率です。ipadもこの比率だったりするのでまだまだよくみるアスペクト比でしょう。

16:9

アスペクト比 9:16

・現代的なアスペクト比
・風景写真にも向いている

HDハイビジョンのテレビに採用されている比率です。パソコンは必ずではないですが16:9が多いです。プレゼンに使うパワーポイントも従来の4:3から16:9のものもよく見られるようになりました。DVDYoutubeもこの比率なので現代的と言えるでしょう。テレビやモニターの画面いっぱいに写真を表示させることができるので汎用性も高いです。横長なため風景写真にも向いています。

中級編

1:1(正方形)

アスペクト比 1:1(正方形)

・被写体をより強調させられるアスペクト比
・オシャレさやポップさを感じる

中央に被写体を持ってくることで主題がわかりやすく、ストレートなメッセージ性を込めることができます。SNSのプロフィール画像初期のインスタグラムに使われているサイズです。現代ではよく使われるようになったためかオシャレでポップな印象を与えられます。ギャラリーページを作ったりする際もかわいく並べることができそうですね。

4:5

アスペクト比 4:5

・インスタグラムにおいて最も画面占有率の高いアスペクト比

これはもともと肖像画などで使われる比率だったのですが、少し前からインスタグラムでこの比率の写真をアップすることが可能になりました。実はインスタグラムにアップできるアスペクト比の中ではこの比率が一番おすすめなんです。なぜかというともっとも縦の長さが長いので、スマホで見たときに写真の画面占有率が高い! つまり、よりユーザーにインパクトを与えることができるということ。実際にインスタグラムに上がっている写真を見てみてもそれを実感でき、ある意味現代を象徴するアスペクト比です。少し縦長なので人物写真としてはちょうどいいサイズ感だと思います。

上級編

1:1.618(黄金比)

1:1.618(黄金比)

・人間が一番美しく感じるとされているアスペクト比
黄金比とは古くから人間が美しいと感じる比率と言われ、紀元前古代のギリシャから使われている比率です。自然界や有名な人工物の中にもたくさんみることができ、一番身近なものとしては名刺です。その他にもパルテノン神殿や凱旋門、アップルのロゴなどでも使われていることは有名です。WEBサイトではブログ記事のサムネイルによく使われている印象です。
黄金比は数学的に求めることもできます。作図のやり方はこちらのサイトに詳しく書かれていて勉強になるので、興味のある方は見てみてください。https://alicemix.com/conceptsgold/
写真の世界での黄金比はよく構図の話でも出てきますね。黄金螺旋というやつです。これについては今度改めてブログでまとめてみようと思うのでそのときに。

1:1.414(白銀比)

1:1.1414(白銀比)

・日本人にとって最も親しみのあるアスペクト比
別名で√2矩形とも言ったりします。一番よくみるのは紙です。A4やB3等の企画は全て白銀比でできています。白銀比の特徴はA1を半分にするとA2に、A2を半分にするとA3にというように、長辺で2当分するとさらに2つの白銀比が生まれるという点です。産業的にもとても合理的な比率といえます。また日本では「大和比」とも呼ばれ、神社建築や日本絵画などに古くから用いられてきました。真偽のほどはわかりませんが、ドラえもんやキティちゃんなどのキャラクターにも使われているということです。過去におこなった調査によると、日本人に最も好まれやすい矩形の比率は白銀比だったというデータもあるそうです。
こちらもこのサイトで作図の仕方が紹介されているので、興味のある方はどうぞ。https://alicemix.com/rootrectangle/

2.35:1(シネマスコープ)

アスペクト比 2.35:1(シネマスコープ)

・映画みたいなドラマチックな表現ができるアスペクト比
スネマスコープと呼ばれている比率で、映画のスクリーンによく使われています。風景写真を映画のワンシーンのように見せるときに効果的です。9:16のスクリーンの上に置いて、上下にできる空きを黒にすることで映画らしさを強調することもできるでしょう。横幅がかなり長いので使うのになかなか勇気のいるアスペクト比ですが、一度試してみるのもありですね。ちなみに映画のスクリーンのサイズは他にもビスタビジョン(1.85:1)といった比率などいくつかあるので、詳しく知りたい方は是非調べてみてください。

まとめ

写真表現としてのアスペクト比のお話でした。たかがアスペクト比、されどアスペクト比です。3:2や4:3などはさらに写真を縦位置にしたりもすると思うので、それも考慮に入れるとまだまだ選択肢は広がりそうですね。写真家の作品集などをみていても全て同じアスペクト比で編集されていたり、明確なコンセプトを感じる作品も多いので侮れません。是非挑戦してみてください。ちなみに今回の作例は全て私が撮影した写真です。是非ギャラリーページも見に来てください。

 

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