APS-Cでもフルサイズに負けない写真が撮れる理由
インスタグラムなどのネット上で素晴らしい写真をみたとき、こういう写真を撮ってみたいけどフルサイズのカメラじゃないと撮れないんじゃない? って思う方もいると思います。でもそれって大きな間違いです。確かにフルサイズの方が優れている部分はたくさんありますが、いい写真をとる本質はカメラの性能ではありません! カメラの仕組みを良く理解している人がAPS-Cで撮った写真と、カメラの仕組みをあまり理解していない人がフルサイズで撮った写真だと、圧倒的に前者の方がいい写真です。フルサイズよりもAPS-Cの方が良い点もあるんです。
今回は私がAPS-Cをオススメする理由を紹介します。「ここがAPS-Cの良いところ」「こう撮ればフルサイズに負けない点」などをあげていきたいと思います!
大きさ・重さ
まずなんといってもカメラの大きさと重さです。APS-Cはセンサーサイズが小さいためフルサイズに比べ小さく、軽くてコンパクトになっています。この重さというのがは個人的には非常に重要だと思っています。カメラを持ってみてから気づくのですが、カメラって重いんです。買ったばかりのころは多少重くても嬉しくてちょっとした散歩なんかでもよく持って行くんですが、だんだん日が経つにつれてカメラの重さがネックになってくるんです。カメラが重いだけでやっぱり持ってくのやめたってなっちゃいます。せっかくカメラを買ったんですから重さで使わなくなってはもったいない! できるだけ気軽に持ち歩くにはミラーレスでかつAPS-Cのカメラが最強だと思っています。
ちなみに現在発売されているキャノンのカメラの重さ平均は以下の通り。
フルサイズ | APS-C | |
一眼レフ | 960g(6モデル平均) | 483g(6モデル平均) |
ミラーレス | 533g(3モデル平均) | 386g(7モデル平均) |
これは本体の重さなので、さらにレンズの重さがプラスされます。そう考えるとカメラって結構重いですよね。ミラーレスのAPS-Cモデルは400gを下回っています。軽くて見た目も可愛いので女性が使うのにも向いていると思います。
値段
もちろん値段に関してはAPS-Cの方が圧倒的に購入ハードルは低いです。
現在発売されているキャノンのカメラの値段(税込)の平均は以下の通り。
(2021年2月13日時点 価格コム調べ)
フルサイズ | APS-C | |
一眼レフ | 381,429円(6モデル平均) | 85,216円(6モデル平均) |
ミラーレス | 199,473g(3モデル平均) | 71,434円(7モデル平均) |
ちなみにここで挙げているフルサイズのモデルはプロが使うフラッグシップモデルからアマチュアモデルまで入っていますので、平均は少し高めになるかもしれません。ご了承ください。これをみると圧倒的にAPS-Cの方が安いのが見てとれると思います。
レンズ
基本的にはフルサイズのレンズとAPS-Cのレンズは分かれています。フルサイズ用のレンズをAPS-Cに付けることは可能です。APS-C用のレンズをフルサイズにつけることはニコン・ソニー・ペンタックスにおいては可能ですが、キャノンは付けられません。フルサイズの方がレンズの種類も多いので、将来フルサイズを手に入れるつもりだとしたらフルサイズ用のレンズを集めるのも手です。ただ、本来フルサイズ用に設計されたレンズなので、本来写せるはずの画角がカットされてしまいます。ということはその分無駄な部分があるため、大きく重くなってしまうんです。また焦点距離も1.5倍になってしまうため、フルサイズでは標準レンズとして設計されたレンズも中望遠気味で使うことになります。それって少し中途半端で使いにくくなると私は思うので、個人的にはコンパクトなAPS-CにはコンパクトなAPS-C用のレンズを装着する方がしっくりくると思っています。
レンズに関してもやはりAPS-Cの方が大きさ・重さ・値段においてもコンパクトです。APS-Cの本体に合うサイズなので見た目もしっくりで軽いです。値段ももちろんフルサイズに比べて安いです。
例えば、キャノンのフルサイズ用のレンズを買おうと思った場合、標準レンズの代表格である「EF24-70mm F2.8L Ⅱ USM」は186,300円(2021年2月13日現在 価格コム調べ)です。APS-Cでそれに近いタイプの標準レンズ「EF-S 17-55mm F2.8 IS USM」は89,800円(2021年2月13日現在 価格コム調べ)となります。もし18万円持っていたらフルサイズでは1本しかレンズが買えませんが、APS-Cだったらさらに単焦点レンズ、望遠レンズを追加で買うということだってできます。レンズを集めるのにコストが断然安く済むんです。フルサイズを買ってもお金がないから万年標準レンズのままじゃ面白くないですよね。APS-Cの方が低予算でレンズを楽しむことができるんです。
画角
画角はフルサイズの方がAPS-Cよりも大きいです。でも画角って広い方が良いと思っていませんか? 確かに風景写真を撮るんだったら広い方が良いかもしれないですが、画角が広い「絶景」の風景写真って、全体の中だと一部ですよね? それに画角が狭いんだったら数歩下がってしまえば同等の画角を得られたりもします。広角レンズを使うという選択肢もありです。花を撮影したり、人を撮影したりすることもたくさんあると思いますが、むしろそこではいかに画面を切り取るかという撮影者の能力の方が大事です。初心者ほど画角いっぱいに撮ろうとしてしまいますが、実は広い画角ではない方が効果的な写真も多いのです。
また、焦点距離に関してはAPS-Cはフルサイズの1.5〜1.6倍です。つまり考え方を変えれば遠くのものはAPS-Cの方が撮りやすいということ。フルサイズ換算で同じ200mmの望遠レンズを付けていたとしても、APS-Cの方がさらに遠くのものを写せることになります。カメラを買った理由として、運動会で子供の写真を撮りたいとか、花の写真を撮ってみたいといった目的ならAPS-Cで何も問題ありません。
ボケ量
ボケ量に関してもフルサイズの方がAPS-Cよりも大きいとされています。ただ、これは写真の撮り方でどうにでもなるので気にする必要はありません。ボケを大きくするには「F値を下げる」「焦点距離の長いレンズを使う」「被写体に近づく」の3つが有効です。これを頭に入れておけばAPS-Cでも思い通りのボケ量を得ることができます。
ちなみにAPS-Cで梅の花を単焦点レンズで撮った作例が下の写真です。これは焦点距離が中望遠の50mm(フルサイズ換算で80mm)、F値を1.8、被写体にギリギリまで近づいて撮影しました。このくらいぼかすことは問題ありません。
画質
センサーが大きい分、光をたくさん取り込めるフルサイズ。画質に関してはフルサイズの方が良いのは認めざるを得ません。諧調が広いので白とびや黒つぶれを起こしにくいしノイズも少ない。となるとやはりフルサイズなのかといったらそんなことはありません。
撮った写真はその後どうすることが多いですか? インスタグラムにあげたり、ブログに載せたりすることが多いと思います。スマホサイズやブログに表示する横幅800px程度であれば実はフルサイズもAPS-Cも違いはほとんどわかりません。大きなサイズで見て、さらに暗いところで撮った写真であればノイズが目立ってきますが、明るい写真であればプロでもなければ見分けるのは難しいでしょう。写真を撮るのが上手くなってきたらISOを上げないでとることもできるようになります。例えば三脚を使うといった方法です。これならノイズをほとんど入れずに撮ることができるのでAPS-Cでもフルサイズ並みの綺麗さで暗所でも撮影することが可能です。カメラの仕組みを良く知っていればAPS-Cの弱点を補うことができるのです。
このWEBページ「LEMONs PECO」のフォトギャラリーにも私の撮った写真を載せているので見てみてください。全てAPS-Cで撮影していますがいかがでしょうか。画質に関してはあまり問題ないことがお分かりいただけるのではないかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。「フルサイズの方が良い写真がとれる」というのは半分正解で半分不正解です。フルサイズの方がスペックは上なのは間違い無いでしょう。でもカメラの知識をしっかりと持っていればAPS-Cでも補えることはたくさんあると思います。いい写真をとる本質はカメラの性能ではありません。カメラの知識をしっかりとつけて、被写体をより綺麗にみせる構図や撮影テクニックの方が重要です。軽くてコンパクト、さらに値段も安いからレンズもいろいろ揃えられる。それだけでもAPS-Cは魅力があると思います。
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